唐突だが高町家の食事は余程の事がない限り

家に居るもの全員がそろって食べるのが決まり事である

翠屋で働いている桃子やフィアッセもその時間帯だけはお店を抜けて

家でみんなと一緒に食べることにしている

しかし、今朝は少し事情が異なっていた

何故なら・・・

 

「あれぇ?おにーちゃんは?」

 

高町家最年少であるなのははリビングに入ってくるなり疑問の声を上げた

この家で一番朝が遅い─苦手としている─のがなのはである

普段ならば、なのはが支度を整えてリビングに入ると全員がそろっているし

兄である恭也も、大抵は席に着いてお茶を飲んでいるところである

しかし、今朝は恭也の姿がリビングの何処にも見えない

なので、なのはは誰に問うわけでもなく疑問の声を上げたわけだが・・・

 

「恭也なら部屋に居るみたいだけど」

 

恭也の気配を察した美沙斗がなのはの疑問に答えた

 

「恭也ならそのうち来るわよ」

「おかーさん、何か知っているの?」

 

恭也が居ない事を特に気にも留めていない桃子のセリフになのはが問いかけた

その様子を見ていた他の者も

恭也が未だに姿を現さないことを心配し桃子に詰め寄ろうとしたが

 

「まぁね、それをこれから説明するから

 その前にみんな席に着いてね」

 

桃子がそれを遮るように言うと、渋々ながらもみんな席に着いた

それを確認した桃子は・・・

 

「えっとね、恭也が小さくなっちゃったの♪」

 

と、何故か嬉しそうに爆弾を投下した

 

「おかーさん、いくらなのはでもそれは冗談だと分かります」

 

なのはのその言葉を筆頭にそれぞれ桃子の言葉を否定するが・・・

 

「まぁ、百聞は一見にしかず・・・てね

 今から恭也を呼んで来るからみんなそれで判断しなさい」

 

と言いながら、桃子は恭也を呼びに行く為リビングを出て行った

残された者は呆気にとられたのか、しばし呆然としていた

ちなみに、美由希もこの場に居なかったりもするが・・・

誰も─実母である美沙斗でさえも─気には留めていなかった

 

しばらくしてから桃子はリビングに戻ってきた

一人の少年を伴って・・・

そして、その少年を目にした瞬間

 

「「「「「えっ〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」

 

驚愕の叫びがリビングに響き渡った

 

 

 

「かーさん、説明していなかったのか?」

 

驚いているみんなを無視しながら恭也は桃子に尋ねた

・・・若干呆れながら

 

「一応説明はしたわよ

 ただ、詳しく説明するよりも、実際に見た方が早いと思って」

 

と、桃子は悪びもせずにのたまった

 

「はぁ〜・・・」

 

そんな桃子の様子に恭也はため息を吐くしかなかった

そんな中、真っ先に立ち直った美沙斗が恭也に尋ねる

 

「それで、恭也

 そうなった原因に心当たりはあるのかい?」

「・・・一応は」

 

恭也のその言葉に、今まで騒いでいたみんなの視線が恭也に集中する

恭也はそんな視線を気にも留めずに一本の小さな瓶─リポビ○タンDの様な─

をテーブルの上にトン・・・と置いた

その瓶にはラベル─ディフォルメされた忍が描かれた─が貼ってあった

 

「恭也・・・まさか・・・それは?」

 

その瓶に見覚えがあった美沙斗は恐る恐る尋ねた

 

「ええ、忍から貰った『忍ちゃん印の回復強化剤』です」

「なぁんだ、月村さんの仕業だったんだ」

 

恭也の言葉に美由希が納得したかの様に述べ

周囲もそんな美由希の言葉を肯定するかのように頷いていた

そんな中美沙斗だけは不安そうに、しかし不思議に思ったのか首を傾げた

ちなみに、美由希は恭也を迎えにいった桃子が見つけ救助した

─救助した後すぐにリビングに向かわせたが・・・

 

「何を言っているんだ、この馬鹿弟子が」

 

恭也はそう言いながら美由希の暴言?に対してツッコミ─徹を込めた手刀─

を頭にお見舞いした

当然美由希は頭を抑えて蹲ったが、そんな美由希を無視して恭也は続けた

 

「大体、この薬は美沙斗さんも飲んでいるんだぞ」

「そうだね、私も飲んだはずだけど・・・?」

 

恭也の言葉に美沙斗は首を傾げながらも肯定した

同じ薬を飲んだはずなのにどうして恭也だけが小さくなったのか?

これが美沙斗が疑問に感じている部分である

 

「それで、恭也・・・結局の所、何なのソレは?」

 

桃子はその薬の効果が気になるのか恭也に尋ねた

 

「読んで字の如くだが・・・

 服用者の自然治癒力を高めてどんな怪我でも普通よりも短時間で治したり

 肉体的な疲労を和らげたり短時間で抜く効果があるらしい」

「何でそんな物を?」

「本来は俺の右膝の治療用に開発した物らしい

 俺自身の治癒力が高まれば完治する可能性も出てくるから・・・と言う理由らしい

 つまり、さっき言った効能は副次的な物だな」

 

恭也のその説明に効果は理解したが

忍の作成した薬・・・と言う点が気になるのか周囲は顔を見合わせていた

 

「ああ、安全性は忍が保障してくれたし俺自身も確認した

 いくら忍でも、さすがに臨床実験もせずに他人に勧めるわけがないし

 更には忍本人も自ら服用して安全性を確認した見たいだしな」

 

恭也の説明を受けて、周囲はホッとした表情をした

 

「それに、効果のほうもかなり高いぞ

 何せ、神速を連発しても右膝が疼かなかったからな」

「そうだね、効果の高さは私も保証するよ

 実際昨夜の鍛錬中では、ほとんど疲れを感じる事はなかったし

 いくつかの傷跡が少し薄くなっているからね」

 

恭也と美沙斗が忍の薬の効果の高さを絶賛する

それを聞いた周囲は感心したかの様な表情を浮かべた

 

「忍ちゃんの薬が原因じゃないとしたら、原因は一体何になるの?」

 

恭也と美沙斗が同じ薬を飲んでいた─そして、恭也だけが小さくなった

それが事実である以上忍の薬が原因になるとは思えない周囲は首を傾げた

 

「確かに忍の薬は要因の一つではあるが決定打ではないな

 決定打・・・と言うか最大の原因は・・・」

 

と、恭也はそこで言葉を切り、美由希を睨みつけた

その視線に射抜かれた美由希は後ずさりをしながら・・・

 

「えっと・・・恭ちゃん・・・私が何か?」

「何か?・・・だと・・・貴様は昨夜、自分が何をしたか忘れたらしいな」

 

美由希の疑問に恭也は怒りを隠そうともせずに答え、更に続けた

 

「忘れたのなら思い出させてやろう

 こうなった最大の原因は・・・貴様の毒物料理だ!」

「恭ちゃん、それは言いがかりだよ!」

 

ビシッと美由希の事を指差しながら恭也は自分の考えを確信を持って述べた

美由希は当然の如く反論するが、周囲は妙に納得していた

実は昨日の夕食時、美由希の料理が巧妙に隠された状態で並んでいたのである

そして、最初に恭也がソレとは知らずに食べ・・・

即座に─美由希の料理にしては珍しく毒性が低かったので─美由希を問い詰めた

隠す必要もない美由希はあっさり白状し・・・その場で恭也の制裁を受けた

当然その料理は危険と判断され、そのままゴミ箱行きとなった言うまでもない

 

「つまり・・・美由希の料理が忍ちゃんの薬の効果を変質させた・・・と?」

「ああ、そう考えると辻褄が合う」

「ちょっと、何でみんな納得しているのよ!」

 

恭也の話を統合した桃子はそう結論付け、恭也もそれを肯定した

周囲の反応に納得がいかない美由希は喚き散らすが・・・

 

「美由希よ、貴様の料理はそれだけの説得力を持つ危険物だということだ!」

「恭ちゃん!いい加減にしないと私も怒るよ!」

「事実だから仕方なかろう」

「っ・・・母さんからも何か言ってよ!」

「美由希・・・真実から目を背けたら人はいつまで経っても成長しないものなんだよ・・・」

「・・・母さんまで(泣)」

 

実の母である美沙斗にまで自分の料理を否定された美由希は

床に『の』の字を書き始めた

・・・当然、いつもの事なので誰も気にしない

 

「さて、これで俺の話は終りな訳だが・・・そろそろ時間なのでは?」

 

恭也のその言葉にみんな─主に学生組み─は一斉に時計を注視し

慌てて登校の準備をする

 

「恭也はどうするんだい?」

 

出かける予定のない美沙斗が本日の恭也の予定を聞く

 

「さすがにこの身体では学校に行けませんし、出かけても補導されるだけでしょう

 なら、とりあえずは家に居ますよ」

「そう言う事なら恭也、とりあえずフィリス先生のところに行って診て貰いなさい

 そうね・・・恭也だけだと不安だから、美沙斗さんお願いしてもいいかしら?」

「かーさん、それでは美沙斗さんに迷惑がかかるのでは・・・?」

 

桃子の提案に病院嫌いで通っている恭也は拒否反応を示し断ろうとしたが

 

「私は別に構わないよ、特にしなければならない事もないしね」

 

と、美沙斗が退路を塞いだ為受けざるを得なかった

 

「恭也、キチンと病院に行きなさいよ

 美沙斗さん、恭也のことよろしくお願いしますね

 それじゃ、行ってきます」

 

そう言いながら桃子は慌ただしく翠屋に向かっていった

 

こうして恭也の本日の予定は半ば強制的に『通院』となった

 

 

 


あとがきor言い訳?

 

っし、書き終わった〜

セティ「じゃあさっさと次を書きなさい」

って、労いの言葉もナシ?!

セティ「何でわざわざそんな事を言わないといけないのよ」

・・・・・・・・・

セティ「処で、原因を忍+美由希にした理由は?」

この後の展開を考えると忍だけの場合真似する者が出るからだな

セティ「だから美由希の料理を足した・・・と」

ああ、偶発的ならば真似しようがないしな

セティ「・・・と言うことは・・・恭也の真似をしたくなるような状況になるわけ」

ああ、詳しくは言えないがそうなる可能性が高い・・・と言うことだ

セティ「・・・いつになったらその状況になるわけ?」

う〜んと、通院、暗躍、本編・・・と続けるつもりだから・・・5話目以降?

セティ「・・・何か本編までが増えていない?」

増えているな・・・

セティ「それならさっさと続きを書かないとね♪」

・・・いや・・・さすがにキツイものが・・・

セティ「問答無用!書きなさい!」

・・・・・・・・・書かなかった場合は?

セティ「罰としてコレを食べてもらうわよ(ニコッ)」

・・・ソレは・・・まさか・・・(ガクガク)

セティ「そう、今回出てきたM・Tさん作成の料理よ♪」

書かさせて頂きます(即答)

セティ「分かれば宜しい・・・目標は明日中ね♪」

・・・(そんな殺生な・・・orz)





まさか、そんな原因が…。
美姫 「美由希の料理も進化を続けるって事ね」
いやな方に進化してるな。
美姫 「まあね。だって、進歩じゃないのもの」
あはははは〜。しかし、小さくなった恭也か。
いいおもち……もとい、皆に可愛がられるんだろうな。
美姫 「とくに某女子寮の二人にばれたら大騒動になりそうね」
さてさて、一体どうなるのか。
美姫 「また次回を待っていますね」



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